• Home
  • About
  • Blog
  • 2020/06/05 01:44


    おはようございます。こんにちは。こんばんは。
    gift project 「acelio」代表の八尾です。

    今日は私の考える"バイヤー"の仕事、役割について書いてみたいと思います。

    どうしてこんな内容にしようと思ったかというと、
    普段、自然に行っているであろうことを言語化してみたい、という衝動に駆られたからです。


    上述の通り"自然"にしている業務であり、一般的にイメージするセレクトショップのバイヤーというのは
    「目利き」とも呼ぶように、その”目”で仕事をしているようなもので、とても「感覚的」な仕事だと思います。

    そんな、非論理的に思える仕事ですが、
    (特に私たちのような個人店のバイヤーは)
    それぞれにスタンス、独自の理論みたいなものがきっとあるような気がします。
    実際にブランドさんとお話をするにあたっては、そういった考えをお伝えしているので、言語化できるんじゃないかなと。


    あと、立ち上げの際にもすごく感じたのですが、
    具体的に経験則・なり方・How toなどを書いている本や記事って
    めちゃくちゃ少ないんです。

    基本的なことが書いてある本も売ってはいるのですが、
    「じゃあ具体的にどうやってブランドを選ぶの?」とか
    「実際何をすればなれるの?」のような率直な疑問は解決しませんでした。



    また、普段はお客さまから見えない部分になるので、
    「こんな仕事してるんだなー」と、少しでも知っていただけたり、
    これからお店やブランドをはじめたい、と思っている方などにも
    何か参考になれば幸いです。(個人の主観だということはご了承ください。笑)



    まず、ざっくりと「個人店・セレクトショップのバイヤー」の全体像を、
    あくまで私の経験則にはなりますがお話しさせていただきます。



    ◎個人店・セレクトショップのバイヤーについて


    個人店・セレクトショップのバイヤーと企業のバイヤーの間には、
    似ている部分と、対比するような部分があると私は考えています。

    (企業というものは「営利を追求するもの」という定義で動いているものなので、
    ここでは対比として、マーケティング等の戦略的なアプローチをし、
    利潤の最大化を目的とする企業のバイヤーを"企業バイヤー"として例に挙げます。)


    まず似た部分についてですが、個人店であっても"利潤"というものは必要不可欠なものです。
    そもそも、人が生きていくためにはお金を稼がなければどうしようもありませんし、
    店舗を持っていればさらに家賃もかかります。
    商品をブランドさんから買い付けるためにも、資金が必要です。


    ただ、利潤に対する重点の置き方やバランスは、個人店の方が自由度が高いというか、
    経営者の感覚や方針に委ねられていることも多いと感じます。

    (もちろん、企業バイヤーも根本にある企業理念やコンセプトなどといったものの中で
    追い求めている上、自身の目利きを発揮していることは重々承知していますが、
    あくまでも対比する意味も込めて、より顕著なのが個人店ではないかと思います。)


    ブランドさんのセレクトに関しても、バイヤーの趣味嗜好価値観がより色濃く反映されるかと思います。
    自身として、お店としてどんな人のつくる、どんなものを、どんな風にお客さんに届けたいか、
    といったメッセージが深く潜んでいるように感じています。




    ◎acelioのバイヤーとしての判断基準、役割など。



    ここからはacelioのバイヤーとして、そして経営者として、
    どんなスタンスで仕事をしているのか、またどのようにブランドさんをセレクトさせていただいているのかについて
    書いていこうと思います。


    大きく分けて2つの価値判断基準について。


    ・その"人"と一緒に仕事がしたいか。どんなことがしたいか。
    ・誰かに紹介したい、伝えたいと感じる"魅力"があるか。


    この2つが私が仕事をする上での"大原則"にあたるのかなあと思っています。



    まず第一に"人"

    私がacelioを立ち上げる上で1番初めに決めたこと。
    それは「互いが楽しむ、ということを前提で一緒に仕事をする」というものです。

    すごくワガママな話ですが、楽しく生きていきたい、とか
    仕事を楽しいことだけで埋め尽くしたい、とか
    そういう部分が動機の大きな一部分になっているのは間違いありません。

    ただ、自分ひとりが楽しいだけでは、ダメなのです。
    世の中がうまく回らないとかそういう理由もきっとあるのでしょうが、
    やっぱり誰かと一緒に喜んだり、悩んだり、議論したりしたいのです。



    ある程度、理論的に書きたかったのですが、
    「一緒に仕事がしたい!」と思う基準は、やっぱり直感的なものかもしれません。笑

    話すテンポや受け答えの表情、作品や"物を買っていただいて生活する"ことへの価値観、
    どんなことを考えていてこれからどうしていきたいのか、などなど
    いろいろなことをお話しさせていただいたうえで、そう思うかどうか。

    その方を信頼し、尊敬できるかどうか。また自分は信頼してもらえているのか。
    一方通行のやり取りや、単なるビジネスパートナーとしてではなく、
    同じ方を向いて、一緒に楽しい未来をつくっていきたいかどうか。
    そんなことを常に考えます。


    ものすごく雑に言えば、
    いいことがあったときは一緒に美味しいお酒で乾杯ができて、
    うまくいかなかったときは悲観的になるのではなく、どうしたらいいかを前向きに議論できるような
    そんな方々と仕事をしたい、と思います。



    そして、"魅力"
    こちらはお客様から見た、バイヤーの腕の見せ所かもしれません。


    私の場合は、"誰かに紹介するときの文章が自然と湧いてくるかどうか"、それがある種の判断基準になっている気がします。
    もちろんその中にはデザインの斬新さや、背景にあるインスピレーションを昇華する工程、仕上げや技法の丁寧さといった、外見の要素も含まれるのですが、
    展示してある状態も含めて、そのものが発している"何か"が感じられると、
    吸い寄せられるように、じっくりと手に取って、お話を聞きたくなります。



    その判断基準の中に、ブランドの大小や影響力は全く関与していません。
    自身が魅力的だと感じたものを、どうやってより魅力的に感じてもらおうか、そんなことを常に考えるのが私の仕事です。
    オンラインストアを簡単に作ることができ、ブランドさんも自身で発信ができる時代ですから、
    ブランドさんの力で買っていただくというのは、私たちが介在する意味が全くなくなってしまいます。

    知名度の有無に関係なく、ブランドさんとはまた違った切り口で、
    セレクトショップのご紹介する1つの作品として買っていただくこと、
    それが私たちの仕事であり、存在意義だと考えています。


    バイヤーとしての使命は、自身が選んだものに一緒に責任(適切な表現化はわかりませんが)を負い、
    製作から流通、購買に至るまでの最後の過程として、余すことなく魅力を最大限に、
    むしろ何倍にもできるような気持ちで、向き合うことだと考えています。

    それを体現するのは、何か特別な方法があるわけではありません。
    一つ一つの仕事を丁寧にすること。作品とじっくり向き合うこと。仕事の振り返りをすること。
    これに尽きると思っています。
    梱包の一つ一つ、メッセージカードに書く文章、お問い合わせへのご回答、
    あらゆることに対して、いかに誠実に、正直にいられるか、それだけです。

    これが、私の仕事だと考えています。


    ◎まとめ



    さて、相変わらず長い文章になってしまいましたが、
    お付き合いいただきありがとうございました。

    全体的にまとめるとバイヤーの仕事というのは
    "買い付けをする"仕事であり、"魅力をくみ取り、伝える"仕事であると考えます。
    そしてそれは"ブランドさんとは異なる"仕事であるべきとも考えています。

    企業バイヤーと個人店バイヤーを対比的に表現しましたが、
    おそらくほんの少しだけ、向いている角度が異なっているだけなのかもしれません。
    届く先が遠くなればなるほど、その2つは離れて見えるので、
    外から見ると同じようで、違って見えるのかもしれません。


    なにはともあれ、こうしてバイヤーとして、代表として、
    多くの方々に恵まれて仕事ができていることを幸せに思います。
    この仕事は私の"誇り"です。

    最近、ありがたいことに少しずつショップの立ち上げを計画されている方などから
    相談のご連絡をいただくことがありますが、
    私にできることであれば基本的にお答えいたしますので、
    ぜひお気軽にDMなど、お待ちしております!

    これからも、末永くお付き合いくださいませ。笑
    よろしくお願いいたします。


    gift project 「acelio」    八尾 文也